平成23年10月発行
 
  第119号
 
 
航空機騒音について
○ はじめに
 

 平成25年4月より,『航空機騒音に係る環境基準』の評価方法が改正され,いままでの「WECPNL」での評価から「Lden」での評価へと変更されます。今回は,航空機騒音について,そして「WECPNL」と「Lden」の違いについてご紹介したいと思います。

○ 航空機騒音とは
 航空機の音はその性質から,地上の騒音源に比べて桁違いに音源パワーが大きく,その影響は広範囲にわたります。そして,風向風速などの気象条件,機種や離着陸方向などの条件によって,地上で聞こえる音は刻々と変化するなどの特徴があります。
○ 航空機騒音に係る環境基準の評価方法
・これまでの評価方法
 これまでの環境基準で評価量として採用されていた「WECPNL」は,別名「うるささ指数」とも呼ばれています。計算に使用するデータには,航空機毎の騒音の最大値を使用します。
 この方法の問題点としては,滑走路が2本ある空港などで,逆転現象※1とよばれる現象が発生することがあるということが知られており,これが,今回の評価方法改正の発端となりました。また,この評価方法では,騒音の継続時間を一律として計算するため,航空機騒音の継続時間が長い場合などでは,住民の感覚にそぐわないなどの問題が指摘されていました。
※1 逆転現象:滑走路が2本ある場合などに,2本の滑走路の全てを対象としたWECPNLが,1本のみを対象としたWECPNLより低くなる現象。
・これからの評価方法(平成25年4月から)
 これからの環境基準で評価量は,「Lden」は,航空機騒音のエネルギーそのもののに着目した計算方法です。計算に使用するデータには,航空機毎の単発騒音曝露レベル※2を使用します。
 この方法では逆転現象は生じないと検証されており,また,航空機騒音のエネルギーそのものに着目して計算するため,住民の感覚に比較的対応しやすいと言われています。
※2 単発騒音曝露レベル:単発的に発生する騒音の全エネルギーと等しいエネルギーを持つ継続時間1秒
                  の定常音騒音レベル。一般に,音の最大値が同じ航空機の場合,継続時間が
                  長い場合ほど,数値が大きくなります。
弊社の航空機騒音測定風景
 航空機騒音の測定・評価方法は,騒音に係る環境基準だけでなく,他にもいくつかの評価法があります。弊社では,上記の方法も含めて,全ての航空機騒音の測定方法に対応しております。
株式会社 東洋環境分析センター 株式会社 東洋環境分析センター